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厳島神社(いつくしまじんじゃ)・其の肆/豊国神社(千畳閣) 〜広島県廿日市市〜


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前回の続きです。
「あの五重塔と隣の建物はなんぞや!?」というところで終わっていました。

まずはそこまで行ってみる!

なかなか大きなお堂?です。
誰が何のために建てたのでしょう?

むむ、これは木の感じからしてかなり年季が入ってそう。

調べたところ、この建築物は「豊国神社(ほうこくじんじゃ)」、別名「千畳閣(せんじょうかく)」というそうです。

御朱印はこちら↓

そうです、”豊国神社”と聞けばあのお方、豊臣秀吉公が祀られる神社です!
元は、秀吉が毎月一度”千部経”(法華経八巻を千回読んで、ご先祖や先亡の精霊を供養すること)を読誦(どくじゅ)するために、安国寺恵瓊に建立を命じた大経堂だということです。
天正15年(1587)から着手していましたが、秀吉が休止したため建築中止となり、そのまま放置され現在に至ります。

やっぱり恵瓊って秀吉のこと嫌いだったんだろうなぁ!(笑)
「逆らえないからハイハイ言うて造ってたけど、死んだならもうええわ。アホらし。別のことに金使った方が良さげ!」とか言って途中で投げ出したのではなかろうか(笑)

宮島の中では一番大きな木造建築物で、畳857枚分の広さがあるそうです。
千畳閣」という名はその広さから付けられたということですが、いや1000畳ないやん!!なんだ857って中途半端な数字!!もうちょっと頑張れ!!ってなりました(笑)

お!中を見学できるようですね!
入ってみよう!

入り口の天井に干支恵方盤が下がっていました。
これ、どこかで見たやつ。
そうです、福岡県の櫛田神社のコレですね!

櫛田神社 干支恵方盤

櫛田神社の干支恵方盤と同様に、千畳閣の干支恵方盤の真ん中にも矢印があったので、こちらも毎年大晦日には翌年の恵方を差し示していたのかもしれませんね。(今は使われていない模様)

875畳ほどもある千畳閣の中はこんな感じ!

1000畳ないけど確かに広い!!

それよりも感動したのは、この日も気温がとても高く暑い1日だったのですが、千畳閣に足を踏み入れた途端、ここだけ別世界のにようにひんやりとしていて、時折吹く涼やかな風に天国いる気持ちになりました!天国行ったことないけど!
靴を脱いで上がるので、足元からも床の冷たさが感じられて、もう寝っ転がりたい衝動に何度も駆られましたが、さすがにお行儀悪いなと思い我慢しました(笑)

実際に江戸時代には納涼の場、憩いの場として親しまれていたようです。
冬は極寒だろうけどね。

入口の右手にすごく大きな杓文字が!
どんな大釜で米を炊くの??
ギネスに挑戦したやつ??

上を見上げるとたくさんの額などが掛けられています。
近年のも幾つかありましたが、殆ど相当古そうでした。

石三つでなんて読むのかなって調べたら、「らい」と読むそうです。
こんなに画数が少ない漢字なのに読めなかったなんてなんか悔しい。
この漢字が持つ意味は見たまんま。石が転がってる様子。
「磊」が二つで「磊磊(らいらい)」と読み、その意味は、石がゴロゴロと転がっている様子。そのまんま(笑)
ゴロゴロ転がってる石には色んな形があるように、物事にこだわらない様を表しているのだそうで。
秀行って誰だろ。

この額、よく見たら平成7年に、囲碁の大会の記念と厳島神社御鎮座1400年記念として贈られたものでした。
比較的新しいです。
なるほど、囲碁だから石がいっぱいなのね。なるほどなるほど…

この千畳閣の広さをぜひもっとリアルにお伝えしたいのですが、どうしても写真に収まりきらず、頑張ってコレです。何とか汲み取ってもろて。

千畳閣の北側に南向きで拝殿があって、こちらが豊臣秀吉公を祀る豊国神社です。
社殿が千畳閣に内蔵されてる感じ。

写真だとちょっとわかりにくいかもしれませんが、拝殿の上にだけ天井が張られているのがわかりますか?
実は、この千畳閣では、この部分以外には天井は張られていないのです。
秀吉公を祀るようになったのは明治の神仏分離令のあとで、仏像などが眼下の大願寺に移され、代わりと言っちゃあ何だけどって感じで(多分)、厳島神社の末社として秀吉公を祀る豊国神社を創りました。
なので、拝殿の天井もその時に張ったのでしょうね。

しかしね、天井を張ることすら安国寺恵瓊は投げ出した、という、歴史上の人物のとても人間臭い部分を垣間見た気がするね。
当時の恵瓊秀吉の上部だけの付き合いとか腹の探り合いとか、なんか色々感じる(笑)

天井はないけど、このように大きな絵馬だの江戸時代の歌舞伎役者の絵だのと、様々な額を眺めるのが楽しいです。
全部見るのが大変なぐらい。

豊国神社の傍には、杓文字教なのか!?ってぐらい大小の杓文字だらけ!
そういえば入り口も大きな杓文字があったけど、あれはここのやつか!給食用のでもギネスに挑戦のでもなかった!

説明書きがあるぞ。なになに?…

杓文字かと思ったら、本来は楽器の琵琶の形を模したものだったんですね。
江戸時代にお坊さんがビジネスとしてこれを流行らせたんですな!(笑)
琵琶がいつから杓文字になったのかは不明ですが、ここでは杓文字とは言わず、杓子とされてますね。
杓文字(杓子)は飯を取る道具なので「飯取る」→「召し捕る」となり、これが「勝ちを獲る」という意味合いになった、と。
奉納されている”杓子”には江戸時代の頃のからもあるのかな?

重要文化財の能舞台の模型。
厳島神社(いつくしまじんじゃ)・其の弍 〜広島県廿日市市〜
海に浮かぶ能舞台で演じるのはどんな気分なのかな?(きっと最高)

千畳閣を囲む広縁

北側の広縁からは本州側の景色が望めます。

こちらは厳島神社の古い神額。

番の鹿が可愛いこの額は、平成31年に奉納された、もみじ饅頭誕生100周年を記念して納められたもの。

向かい合う雄雌の鹿に、細い三日月ともみじ。
風情もあっていいですね。

こちらは昭和40年のもの。
「全世界よ一(ひとつ)に帰れ」。

いつの時代かもわからないこの額、何となく迫力がありますね。
武士が馬を連れて川か何かを渡ってる様子。
馬ちゃんが溺れちゃわないか心配…

こんな風に古今東西のたくさんの額が掛けられているので、上ばっかり見てるから首が痛くなりました。
中でも謎だったのがコチラ。

何かの扉のようにも見えますね。
ここに飾られてるってことは、意味合いの深いものなのでしょう。

海亀の甲羅もありました。
瀬戸内海は海亀はいなさそうだから、関西とか九州の豪商とかから買ったやつとかなのかな?
見た目はすごく古そう。

あまりにも涼しくて心地よくて、ずいぶんゆっくりしてしまいました。
未完成ゆえに壁が一切ないから、そのお陰でこんな快適な場所になっているんです。

「大鳥居の尺杖」とな?

この上部に厳島神社大鳥居を建てるときに使用した”尺杖”があると。(明治8年製)

ぱっと見わからないですね。
私も「どれ?」ってなりましたが、近すぎて盲点でした!
これです。

ただの梁にの一部に見えますが、よく見ると写真に収まらないほどの長ーーい棒が引っ掛けてあります。
長さは16mだということです。

それにしても、この絶景よ!
ちょうど南向きになりますが、厳島神社のすぐ側から社殿を見下ろせます。
神社を見下ろす位置にお堂を建てるなんて、いかにも秀吉らしいと言えばらしい。

で、秀吉の死後、安国寺恵瓊に建築途中でぶん投げられたこの千畳閣、入口さえもまだ造られていませんでした。
ちょうどこの上の写真で2本の柱が突き出てていますが、入口をここに造る予定だったそうです。

外から見るとこの位置です。

ここだけ枠組みができていますね。
この下は急勾配な石垣になっていましたが、ここに階段を造るつもりだったのかな?

千畳閣の角に釣鐘があって、その対面に五重塔があります。
これもまた立派!

ギリッギリ写真に収められた!
アングルをめっちゃ調整しました。

この五重塔重要文化財に指定されています。
屋根の反りが大きいのがこの五重塔の特徴。

五重塔には入ることはできませんが、内陣天井には龍、外陣天井には葡萄唐草、来迎壁の表には蓮池、裏には白衣観音像などが描かれているそうです。
それはぜひ見たかったな。

こちらも中には仏像があったようですが、神仏分離令千畳閣と同じく仏像は大願寺に移されました。
元は秀吉がここでお経をあげるつもりで恵瓊に造らせたわけだから仏教施設であったはずなのに、そこから仏像を除くとはこれ如何に……豊国神社を鎮座させて、お寺じゃなく神社にしたからかな?

千畳閣の広縁の下を歩けそうなので1周歩いてみたけど、特にこれと言って変わったものはありませんでした(笑)

最後に、ここが注目ポイント!
瓦に書かれた「王」という文字。
秀吉が自分を神と見立てて「王」を入れたのではないかという説があります。
うーん、やはり厳島神社を見下ろしたかったんだわ、この男は。

更に、結構剥がれてしまっていますが、金箔が貼られています。
完成したらもうギラッギラがうるさいぐらいの建物になっていたかもしれません(笑)
黄金の茶室を作って利休と揉めた秀吉a.k.a.派手好きですからね(笑)

さて、次はどこへ行こうか。
茶屋があったのですが、この日はお休みでした。残念。

この辺りは「塔の岡」という呼称で、その昔は毛利元就陶晴賢(すえ はるたか)厳島の戦いの古戦場だったようです。

今は日本は一つの国で、この場所で同じ島国に住む者同士が国取りで争うこともないけど、戦国の時代はあちこちで戦が勃発していたんだよなーと思うと、今日も安心して暮らせることにそこはかとない平和を感じますね。

厳島神社の方からここへ来たので、次は反対側の町家通りの方へ降りてみますかね。

次回へ続く!



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