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88. 石上神宮(いそのかみじんぐう) 後編 〜奈良県天理市〜



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予告通り、サッと本題に入ります!

(前編はこちら↓)

(御朱印はこちら↓)

神鶏と暫く戯れ、いざ拝殿へ。

大神神社に並び、日本最古と謳われる石上神宮
ここに来る日を待ち詫びていました!(だいたいどこの神社へ行くのも待ち侘びてる)

ランダムに見えてきっちり積まれた石垣と廻廊。
石垣って一見適当な石をただ積み上げてるように見えて、実は細かく計算して積み上げられているんです。
形や大きさがバラバラなのに、隙間なくきっちり収まっていますよね。
これだけでも十分美しい。

余談ですが、戦国時代には石垣造りが大得意な武将がいましたね。
そう!猛将と謳われた加藤清正 a.k.a 築城名人!
彼が携わったとされるお城は12基。
有名なのは熊本城。そして名古屋城もそうです。

私はお城はまだ数カ所しか行っていませんが、二条城を見た時も名古屋城を見た時も首里城を見た時も、昔の人は重機ナシ、CADもナシでよくこんなの造ったなぁ〜!と感心しました。
また名古屋城では清正が造った微妙な反りを描く石垣がとても芸術的だったのを覚えています。

あ、思い出したわ!
二条城に訪れた時は”本丸御殿保存修理修理工事”だかで、本丸は灰色の四角い姿しか拝めなかったわ!
しかし唐門がとても美しくて、しばし眺めていたものだ…

石上神宮に話を戻します。

本殿は大正2年に造営されたものですが、古い記録だと廻廊は宝永4年(1707年)の10月に、南海・東海大地震で倒壊したと書かれているようです。
大坂では家屋1万戸余が倒壊、死者は約3千人だったそうな。
相変わらず日本は昔から大きな地震が起きてるんですね…

更に古い元亀元年(1570年)に「修覆す」とあり、このことから約450年前には廻廊が設けられていたことがわかります。

現在の廻廊は昭和7年(1932年)製で、意外と新しめ。

楼門は文保2年(1318年)に建立。こちらは重要文化財に指定されています。
元は上層に鐘を吊るすスタイルの”鐘楼門”でしたが、明治初年の「神仏分離令」によって取り外され売却されました。(なんということを…!)

二重の正面に掲げられている木額、「萬古猶新(ばんこゆうしん)」の字は、なんと!幕末の頃、尊王攘夷派である尊攘志士として有名な山縣有朋(やまがたありとも)の筆によるもの!

山縣有朋は松下村塾の塾生であり吉田松陰に強く影響を受け、高杉晋作とも親しかった人物。
戊辰戦争終了後の明治2年、日本陸軍の創設が行われ、山縣有朋は軍人となり、日露戦争では大本営のメンバーでもあった人です。
彼の評価は様々ですが、日本の近現代史を読み漁ってる人で知らない人はいない存在ですね。

萬古猶新」とは、”本当に大切なものは、古いものでも新鮮さを失わず不変である”という意味のようです。

そしてその貴重な木額を私は撮り忘れました。(すまん)

さあ、では楼門をくぐり拝殿へ!

む…

むむ…

あれ??

拝殿どこ行った!?

これはもしや……マジかよ〜(笑)
これは完全に拝殿の改修工事の様子を呈しているではないかー。
二条城もメインの本丸は見れなかったし、ここでもメインの拝殿がぁ〜!

ま、とりあえずトンネル潜ってみた。

中の方で手を合わせることはできました。

せっかく楽しみにして来たけど、拝殿は見れず…
でも参拝できたってことだけでもヨシとしようか。

2022年夏の完成予定なので、もう今頃は出来立てホヤホヤの拝殿が拝めるはず♪

もう一つのトンネルをくぐった先には願串と絵馬。

石上神宮のアイドル達である、御神鶏の絵馬もありますよ☆

・雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ・落ちない鶏 合格必勝
・家運・業績・仕事運・運気・人気・成績 万事向上
・災いをトリ除き、幸せをトリ込む御神鶏の絵馬
                 持ち帰りOK!

と、書かれています。↓

楼門の向こうに階段がありますね。
ちゃんと後で行きますからね。焦るな焦るな!

拝殿から楼門の風景

まずは、御朱印をいただきに受付へ。

書いていただいてる間は授与所で物色タイム。

可愛い袋に入ったお守りがたくさんあって心惹かれますね♪
こういうのは見ているだけで楽しい。

中でもこちら!

御神劔守(ごしんけんまもり)に注目!

このお守りは石上神宮の宝物である国宝の「七支刀」が刺繍されたもので、赤色と黒色があります。

七支刀」は、石上神宮の神庫(ほくら)にある古代の遺品で、互い違いに左右3本ずつの枝刃がある作りの特殊な形をした鉄製の剣です。
全長74.8cmの剣の表面には、表裏合わせて60余字の銘文が金象嵌で表わされていて、明治以降から現代に至るまで解読が続けられています。

文字の中に元号と年が書かれていたり、「百済」といった文字列もあることから、日本書紀において神功皇后摂政52年に百済から献上されたとされる「七枝刀(ななつさやのたち)」にあたると推測されています。

解読の推定に誤りがなければ、この七支刀の銘文は日本書紀の紀年を訂正し、その伝承を裏付ける重要なアイテムとなるのです。
更にこの銘文は、日本の古代史における絶対年代を明確にする最古の史料となります。

相当ヤバいアイテムだな、こりゃ!

ほうら、それを知っちゃうとこのお守りがちょっと欲しくなっちゃうでしょ〜?(=´∀`)
赤も可愛いけど、黒もかっこいいですね♪

御神劔守

御神鶏みくじもあったり、

清めの砂や神盃、そして御朱印帳もあったり、

他にも色々ありましたが、ちょっと面白いものを見つけました。

薬湯!

古来から薬草として重宝されている奈良県産の大和当帰(とうき)、その他も合わせて10種の生薬を配合した入浴剤。

いや〜歩きっぱなしだし札幌に帰ったらこのお風呂に入って癒されたいなぁ〜とつい買ってしまいました。
ここで買わなくても良さそうなものだけど、でもせっかくなので(笑)
ついでに、友人のお土産にも幾つかいただきました。

お守りとかを買わずにコレを買うってどうなのかなってちょっと思っだけど(笑)

行った先の神社の御朱印帳を自分土産にいただいて帰ることはよくあるんですが、未使用のが結構溜まってきてるし、お守りも幾つか持ち歩いてるし…ということで、石上神宮では神社と殆ど関係ない入浴剤を頂戴いたしました(笑)

そんで、感想は?というと、実は未だ使っておりません(笑)
というのも、まだ色んな入浴剤がまだまだ自宅にあるもので、本当に「今日は体しんどいわー!」って時の特効薬としてキープし続けております(笑)

神職さんのところへ戻り、御朱印を受け取りついでに「拝殿って改修中だったんですね〜」と言うと、「そうなんですよ〜。どこからいらっしゃったんですか?」と。

RYO「札幌から来ました(エヘ)」
神職さん「え!札幌から!?」

とここでも驚かれました(笑)
奈良の方々は「札幌から」って言うと大体皆さんこんな風にリアクションをしてくれて楽しい(о´∀`о)

神職さん「せっかくそんな遠くからご参拝に来てくださったのに、申し訳ないですねぇ…」
RYO「いえいえ!何も調べず勝手に私が来ただけなので!でも、どうしても来たかった神社さんですし、こうして無事に参拝できただけでも満足です。御朱印ありがとうございました♪」

と、爽やかな神職さんにお礼を伝え、先ほど楼門の内側から見えていた階段の方へ行ってみました。

灯籠の頭や石垣が苔蒸してる感じが既にイイ!
苔蒸してんの好き〜(о´∀`о)

階段の上には摂末社が幾つかありました。

振り返ってみると、ここは楼門の全貌が見えるベストスポットでした!
後ろの拝殿が出来がった頃にまた来たいなぁ…

さてと、どんな摂末社があるかな〜…と歩き始めた時、「お姉さーーん!」と広い境内に響き渡る声が。

私は”おばさん”だから自分のことではないな、と、とりあえずスルー。

また背面の方から「お姉さーーん!」。

誰が誰を呼んでるんだろう?と思って振り返ってみると、楼門からさっきの神職さんが「お姉さーん!」とこちら方面に駆け寄って来ました。

え?あ、私!?(笑)

神職さん「あ、良かった!まだいらっしゃった。遠い札幌から来てくださったのにそのままお返しするのが申し訳なくて…お詫びに、〇〇をご案内させていただこうと思って。受付の方は別のものに任せきたので、是非(^-^)」

と。
「ええ!!いいんですか!?(*⁰▿⁰*)キャッキャ」と言った私の表情は歓喜で満ち溢れてたと思います。
神職さんのご親切で、普段はなかなかお目にかかれないものを見せていただきました!
それが何か、はなんとなく公表しない方がいい気がするので、前振りだけしたけど秘密にしておきます(笑)

にしても、なんて真心のある神職さんなんでしょうか。
私は自分の都合で勝手にこの日に来ただけなのに、こんな格別なご配慮をいただいて、この神職さんがもう神様やん!ぐらい思ったのでした。

で、楼門の前に戻ってきて、ここから私のいつもの”ダベり”に突入。
今回もたくさんのことを教えていただきました。

石上神宮の拝殿は、屋根が檜皮葺(ひわだぶき)で覆われている造りで、私が訪れた時はこの檜皮葺の屋根を改修してるタイミングでした。

海外にはないこの技術は、2020年に、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
そう、日本の誇るべき技術です!

檜皮葺とは漢字の通り、檜の樹皮を用いて造られます。
日本古来からある手法で、長さ75cm、幅15cmほどにカットした檜の樹皮を1.2cmずつずらしながら2cmごとに釘を打ち、重ね積み上げていく技術です。
最終的には厚みが10cm程度になります。

これが大変に手間がかかる作業で、この技術を扱える宮大工さんたちが時間をかけて丁寧に作業にあたります。
宮大工の中でも特殊なお仕事で、まさしく職人技。

檜皮はこの石上神宮の敷地内にある森、石上神宮社叢(奈良県指定天然記念物)の檜から入手。

檜の樹皮を剥ぎ取る際には、宮大工とは別の原皮師(もとかわし)と呼ばれる職人さんがロープ一本で木に登り、次に皮になる部分に傷が付かないように配慮しながら材料を入手します。
この技術も誰にでも簡単にできることではなく、それだけでも貴重な職業ですが、現在、更にこの原皮師の後継者不足が問題となっています。
受け継ぐ人がいなくなると、この伝統的な檜皮葺も別の形になってしまうかもしれません…

誰か、継ぐ人はおりませぬか?

こういう建築様式も文化の一つ。
なんとか未来に残していきたいですね…

石上神宮へ向かう途中に見た天理教のことで気になることがあったので、思い切って神職さんに伺ってみました。

RYO「ここへ来る途中ちょっと気になったことがあったんですが、天理市って地名の通り天理教の方がとても多いと思いますが、過去の歴史の中で神社側と天理教の間で揉めたこととかってあるんですか?」
神職さん「それが意外とちゃんと棲み分けされていて、歴史の中でそのようなことはなかったみたいです。今でも互いに古い歴史を持つ者同士、普通に挨拶するし尊重し合いながら仲良くやってますよ」

日本史を見ていても仏教でさえ宗派の争いがあったので、ほぼほぼ天理教!みたいなこの土地で「アイツめ〜」みたいな事柄があったりしたのかな?と思ったけど、なんか良い関係を築いてるようですね( ^ω^ )

前日の大神神社で新型コロナのアレで三輪山への登拝が中止だったことをお伝えすると、「あ〜それは残念でしたねぇ…。そして今日は拝殿が改装中で…」とすまなそうに。
そこから新コロの話題になりました。
その際の神職さんのお話がとても感心させられました。

神職さん「今、私たちの世代で新たな感染症が出て騒がれてますが、日本の歴史で過去に今と同じように感染症が流行した時が何度かあって。でもその度に、私たちのご先祖たちは2〜3年かけて受け入れ、共生の道を歩んできたんですよね。だから今回も、今は騒がれていますがもう少ししたら落ち着いて、過去と同じように共生という道を進むと思います。自然のことには人間は敵いませんから。何百年かに一度起こることが、たまたま今の世代で起こってしまっただけなんですよね。私達世代はこういう状況は当然初めて体験することなので、ちょっとビックリしてしまいますが、受け入れることも大切だと思います」

なんという感銘を受けるお言葉でしょう!
葬儀の後のお坊さんの御説法(例えが適切かどうかわからない)のように、何ともありがたいお話。
”歴史に学ぶ”ってこういうことですよね。

RYO「同感です。私も”共生”していくことが大事だと思います。自然はそのままなのに人間だけが騒いでて、人間ってちっぽけなモンですね」
神職さん「そうですねぇ、こういったことも永遠には続かないし終わりがきますからね。大切なのは、今のこの状況から何を学ぶかですよね。」

やっぱり神職さんとかってその神社の歴史も日本全体の歴史も物凄く勉強してるからなのか、言うことが奥深かったり世界全体を包むような視点を持っていたり、まるで神様と会話をしてるような感覚になりました。
しかもフランクな感じで。
神様と直で話したことないからワカランけど(笑)

奈良は公共交通機関があまりないんですね、今日も天理駅からここまで歩いて来ましたって言うと「歩いて!?次回は車で…」と驚かれました。サプライズ2回目。
来てみてわかったけど、次回は車借ります…

あ、あと「石上神宮大神神社はどちらも”日本最古”と言われますが、どちらが古いんでしょうか?」と質問してみました。

これは、「どちらも」が正解のよう。
と言うのは、記紀の序盤などでどちらの神社についても記述はあるものの、双方、はっきりとした創建の時期は明記されていないのだそうです。
なので、ちょっと年代ははっきりわからんけど、その2社はほぼ同期時にあって、どっちも相当古いぞコレは。と言うことみたい。

なんか会話が盛り上がっちゃって(相手はそう思ってなかったかもしれんけど)、この他にもたくさん色んなお話をさせていただきました。

あまり長話をしてお仕事に迷惑がかかったら申し訳ないので、「ではもう少しアッチ(摂末社)の方など回って帰りますね。たくさんご親切にしていただき、本当にありがとうございました。またいずれ拝殿を見に来ます(^-^)」と私。
「また拝殿が完成した頃に、綺麗な姿をぜひ見に来てください。お気をつけて。良い旅行になりますように。」と神職さん。

こういった会話が楽しくて神社巡りをしてると言ってもいいぐらいダベりにウェイト置いてる、否、置きすぎかもしれん。
朝に来たのに、また今回も気がついたらお昼前(笑)

摂末社を参拝して、至急次の目的地へ行かねば!

先ほどの楼門撮影のベスポジのところへ戻りました。

このエリアに摂末社が集められて建立しています。

出雲建雄神社(左)

出雲建雄神社は草薙剣(くさなぎのつるぎ)の荒魂(あらみたま)である、出雲建雄神がお祀りされています。

出雲建雄神社の右隣にある小ぶりなのが猿田彦神社

猿田彦神社

猿田彦神の他に、住吉三神(=住吉大神)他、二柱の神様が御祭神。

あ〜やっぱりいいなぁ〜、この苔蒸し具合!

写真じゃ伝わりにくいのですが、スペースの関係でなかなかのポージングをしながら撮っています。
腰やっちゃいそう。

天神社

天神社には、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)神皇産霊神(かみむすびのかみ)

造化三神天之御中主神以外の二柱です。

天神社の斜向かいにあるのは七座社
七柱の神がお祀りされています。

七座社

その七座社から西を見下ろしたところにあるのが、出雲建雄神社拝殿国宝です。

出雲建雄神社拝殿

見るからに長い時を経たような趣があります。

この拝殿は、元来は内山永久寺(うちやまえいきゅうじ)の鎮守の住吉社の拝殿で、大正3年に現在地に移築されたものです。
鳥羽天皇に創建された内山永久寺は、神仏分離令により明治9年に廃絶。
鎮守社の住吉社は残されましたが、その住吉社の本殿も明治23年に放火によって焼失。(放火犯め!)
荒廃したまま残されていた拝殿を、出雲建雄神社の拝殿としてこの場所に移築しました。(なので猿田彦神社住吉三神が配祀されている。)
以上のことから、この拝殿は内山永久寺の建物の遺構として貴重なものとして国宝に指定されるに至りました。

メッシュのような格子窓が綺麗で、なんとも趣があります。

一通りまわり終わって、また参道を戻ります。

と、石垣の隙間に幅の細い階段が。
こういうのめっちゃ気になるんですよねー。

行ってみると、そこには御神木。

この場所に神庫があったはずなんですが、撮り忘れてたようです…

参集殿

参集殿の奥にある儀式殿も改修工事の最中でした。

最後はまた神鶏ゾーンに寄って…

ちっちゃいのカワエエ(*´ω`*)

可愛いヒヨコたちをばっちり撮ったつもりだったけど、網にピントが合っちゃってました…
網を撮りたかったわけでなないのに…

ヒヨコ部屋の向かいには鏡池という池があります。

この池に住むワタカは日本の固有種で、奈良県指定の天然記念物になっています。

このオレンジのは普通の鯉です(笑)

ワタカを探し出せず(というかあまり真剣に探さなかった)撮影できなかったけど、ネットからワタカの画像を拝借して来ましたぞ。

ワタカ(「魚類図鑑」さんより)

白銀に輝いて、綺麗な魚ですよね。
鯉の仲間でもあるようなんですが、品格が備わってる感じがします。(ワタカからしたらそんなモンないでしょうけど)
魚類の世界も強い個体の外来種が入ってきて、日本の固有種が住めなくなってきています。
文化だけに限らず、こういった生き物も同じように守っていきたいものですね。

石上神宮を大いに堪能した後は橿原市に向かいます。
橿原といえば、そう!初代天皇である神武天皇をお祀りする、橿原神宮です!(バーン)
あ、その前に石上神宮の御朱印をご紹介します。



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